レオナール・フジタとパリ展/やっぱりパリのあんちゃんはすげぇや!
京都伊勢丹の「藤田嗣治渡仏100周年記念 レオナール・フジタとパリ 1913-1931」展に行って来た。
藤田嗣治なる画家は日本ではそんなに有名じゃないかもしれないけど、フランスではもっとも有名な日本人画家の一人だそうである。
彼は第一次世界大戦直前にパリに渡り、すぐにパリの寵児としてもてはやされ、第二次世界大戦でナチスがパリを占領する直前で日本に帰った。
戦時中は戦争画家として徴用されたものの、敗戦後はフランス国籍をとって日本国籍を抹消し、名実共に「レオナール・フジタ」とフランス人となったが、この展覧会は彼の子供時代から第二次大戦以前までの絵を集めた展覧会ということになる。
彼はピカソやモディリアーニと同時代の「パリ派」に属するけど、「キュビズム」や「シュールレアリズム」そして何よりもこんな感じの、
ちなみにアンリ・ルソーの絵もこの展覧会にあったのだが、全ての場所にぴったりとピントが合っていて、タッチは柔らかいのに印象としてやたらとくっきりしているルソーの絵を観ているとなんだかザワザワして不安になってくる。
藤田嗣治がキュビズム風やらシュールな感じに書いてみた絵この展覧会で展示してあったけど、とても影響を受けたと言いつつも結局自分のオリジナルの作風を探し続けたところがやっぱり芸術家ですなぁ。
この人は女性と猫を多く描いていて、裸婦像では「乳白色の肌」と呼ばれるほどに女性の肌の表現にとことん拘って女性の美を追求した人なのだが、しかしなぜか「子どもの絵」だけは観ていると精神にくるw
そして藤田嗣治はこんな感じの容貌で個性的でとても芸術家らしい。
彼はパリに渡ってから次々と画商やらモデルやら女優やらと女性遍歴を重ね、そのつど新しいミューズを得て芸術的な飛翔を果たしているのだが、これが第一次世界大戦中の日本人やねんからどれだけ進んでるねんと。
彼は日本画壇に受け入れられず馴染めずにパリに渡って活躍し、第二次世界大戦中は帝国陸軍の従軍画家として活躍したものの、戦後は戦争協力をした画家として批判に遭いGHQにも追われたという。
彼はそんな日本に嫌気がさしてパリに帰ってフランス国籍をとって日本国籍を抹消した。彼自身は「私が日本を捨てたのではない。日本に捨てられたのだ」といっていたようだけど、どちらにしろ彼はフランスからも日本からも二重の意味で「異邦人」だったということになる。
女性遍歴しかり、国籍しかり、彼は常にアウトサイダーとしてどこにも属さず固定されずに生きてきたわけですな。
そんな彼の写真を展覧会で観ていて、この髪型とヒゲはずっと誰かに似ていると思っていたのだが…
展覧会を出てから教えられて納得した。
パリのあんちゃんだ!
いかりや長助演じる「ばか兄弟」のあんちゃんだ!
やっぱり本当のあんちゃんだ!
パリのあんちゃんはな、モテモテだし「レジオン・ドヌール勲章」も貰ったんだぞ!
やっぱりパリのあんちゃんはすげぇなぁ!
でも、あんちゃんは本当は誰のあんちゃんなんだ?